========================================食品工場長の仕事とは===

   餌はどのように運ばれてくるか


卵は餌の内容で決まってしまいます。

 卵にはいろいろな種類が販売されています。卵の殻の色は、卵を産む鶏の

種類によって決まります。茶色い鶏が産む卵は赤玉(茶色い殻の色)を産み

ますし、白い鶏は殻の白い卵を産みます。アメリカでは殻の白い卵が好まれ

ヨーロッパでは殻の赤い卵が好まれます。日本では、日常は白い卵を食べ

ますが、高級感を求めるときは殻の赤い卵をたべます。但し卵の栄養素、美味

しさは、餌に寄って決まりますので、卵の殻の色には見た目以上の効果は

ありません。では、餌の中身はどうなっているのでしょうか。

 

日本の餌の中身はほぼ次の様になります。

トウモロコシ 60%

フスマ    10%

脱脂米ぬか 15%

大豆かす   5%

食塩等    1%

その他    9%

食べる量は、鶏の日齢にも寄りますが、一日100g程度を二、三回の給餌に寄って

与えます。1万羽の鶏の鶏舎では、一日1tの餌が消費されていくことになります。

 

餌は毎日専用のローリーで運ばれてきます。

 10万羽の農場ですと、毎日10tの餌が必要になりますから、餌の配送を考えると、

農場は、餌工場から近いところが有利になります。また餌のほとんどは、輸入に

頼っているので、日本の場合の餌工場は、大きな船が接岸できる港の近くに餌

工場を設置しています。関東であれば鹿島港に餌コンビナートが多くあります。

船で運ばれてきた、トウモロコシ等の原料を、各農場の要望に応じた配合を行って

配送することになります。

 

飼料のチェックポイントはどこになるのでしょうか。

 鶏の餌は、蛋白量とカロリーが基本になります。特に、その他の中身のカルシウム

の配合量が殻の強さを決めてしまいます。逆にコストはカルシウムが高価になるので

入荷した餌の成分分析を定期的に行っていなければ、餌工場で餌の配合がばらつ

いた時に確認が出来なくなってしまいます。信頼できる餌工場と、確実な受け入れ検査

が、卵の品質を決めます。

 卵の種類には、DHAを多く含んだ卵、カテキンを含んだたまご、ヨードを多く含んだ

卵が市販されていますが、その全てが、餌にその成分を混ぜています。その混ぜる

ことを農場で混合している、餌工場で廃合している場合の二種類がありますが、大きな

農場では、餌工場で特殊なものが配合済みのものが運ばれてきます。その場合は

DHA等の配合量の点検が最終商品の卵の規格値に相当する量が配合されているか

チェックが必要になります。

 卵を食べることによって発生する食中毒のほとんどが、サルモネラ菌による食中毒に

なります。卵の中身の黄身に産まれた時からサルモネラ菌が付いたまま産まれて来た

場合には、生で食べてしまうと、食中毒が発生することになります。その場合の感染

源のの一つにサルモネラに餌自体が汚染されていることが考えられます。すなわち

餌がサルモネラ菌などに汚染されていないか点検することが大切になります。最近

は、餌自体をサルモネラ菌が死滅する温度で加熱することによって、菌の汚染が無い

状態で農場に供給している餌工場もあります。

 卵の黄身の色が濃いと栄養が高そうな気がします。特に日本人は黄身の色がより

オレンジ色に見えるのを好みますが、アメリカの卵は日本の卵と比較すると、黄身の

色は真っ白に見えてしまいます。卵の黄身の色は餌に含まれている、トウモロコシの

量とパプリカ等の色の入った飼料の量で決まります。すなわち黄身の色と卵の栄養

には関係が無いと言うことになります。

 

 

 

餌の管理状態で卵の最終品質が決まってしまいます。

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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