========================================食品工場長の仕事とは===

■■   誰がラインを停めることが出来るのか

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おはようございます。河岸です。9月9日は重陽の節句です。1月1日、3月3日

5月5日、7月7日と奇数の月の月の数字と重なった日は節句になっています

が、9月の重陽の節句だけ廃れているように思います。菊が咲くには少し時期

が早い性もありますが、記念日がもてはやされる現在、重陽の節句も思い出し

てもらいたい物です。

今週のお薦めの本です。

 

「食の堕落と日本人 」(小学館文庫) By 小泉 武夫

毎朝ご飯と味噌汁が食べたくなる本です。本自体は2001年に単行本で出た

本です。2004年に文庫本になりました。文庫本が500円以上するとどうかな

と思いますが、いいウ○コをするためには必要な本だと思います。

おいしいご飯を炊いて、梅干しで朝ご飯を食べることが大切だと思わせてくれる

一冊です。

http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4094056610/249-0151581-1769102

 

冷蔵庫で食品を腐らす日本人 [朝日新書059] (朝日新書 59) (新書)

魚柄 仁之助 (著)

 いつから日本人は冷蔵庫の中で物を腐らすようになったのでしょうか。私も工

場点検をしているとからなず冷蔵庫の中に賞味期限の切れた食品が保管され

ています。家庭用の冷蔵庫の中にもいつ凍結したかわからないようなものが詰

まっています。

 食材を買って冷蔵庫にしまっていると幸せな気分になってしまうのでしょうか。

 高級な食材を使用した料亭に食事に行くと幸せなんでしょうか。この本のあと

がきが教えてくれます。たち読みであとがきだけでも読むと感激する本です。

ぜひ読んでみてください。

http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4022731591/249-0151581-1769102

 

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 誰がラインを停めることが出来るのか

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読者の方からのご意見です。じっくり読んで皆さん考えてみてください。深い事

が含まれていると思いませんか。

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誰がラインを停めることが出来るのか。

 以前の工場長の時、こんな事がありました。具材処理室で蒸したインゲン。

標準作業では蒸し終わったら粗熱をとった後で、プラスチックシートをかけて速

やかに冷蔵庫に移動・保管しなければいけません。しかし何を間違えたのか、

その日は蒸し終わったインゲンを具材処理室で一晩、置きっぱなしにしてしま

ったのです。翌朝、私が出勤すると調合場のリーダーが「やっちゃったんですよ

〜、もう臭いもオカシイし、使えないですよね〜」と連絡してきました。

 現場に行ってモノを見て、臭いを嗅いだところ、明らかに腐敗臭がしました。

私は現場から「ちょっと原料の状態がいつもと違うんですけど」と連絡を受けた

ときは、現物の官能検査を実施し、できるだけ口にも入れるようにしています。

(ホントは健康保菌者になるかも知れないからイケナイんでしょうけど、現場を

納得させるために食べてみます)。この時はさすがに口に入れるのもイヤで

「こんなの もう使えない!廃棄!廃棄!!」と私の見てる前で腐ったインゲン

を廃棄させました。

 この当時、新任の工場長は夜、皆が帰るまで工場にいる事が多かったので、

出勤は朝10:00過ぎである事が多く、その時も朝10:00頃出勤してきたと思い

ます。夕方、現場から日報が上がってきて、廃棄の量を見た工場長が「なんだ!

このインゲン廃棄○○kgっていうのは!!誰が捨てて良い言ったんだ!!」と

騒ぎ始めたので、私が「明らかに腐敗臭がしたので廃棄させました、報告が遅

れて申し訳ありませんでした」と謝罪したところ「バカヤロウ!!廃棄の権限は

工場長の俺にしか無いんだゾ!!なんで勝手に捨てたんだ!!」と怒られてし

まいました。当時、私も入社したばかりで、会社の職位権限について十分に理

解していなかったので「だって具材処理室に一晩放置されて、現場に行ったら

腐敗臭がしたんですよ!捨てて何がおかしいんですか?」と返答したところ「も

う今日はお前の顔も見たくないわ!!早う帰れ!!!」と怒鳴られてしまいま

した。。

 ある日使用期限内のゴボウの臭いがオカシイ物があるというので、品質管理

担当と生産管理の主任と一緒になって一袋、一袋、官能状態を確認した上(私

だけ食べましたが)で、工場長に工場長代理が報告を行い、新しいゴボウとの

差し替えということで、臭いのオカシイロットの全返品となった事件がありました。

 決定を待つ間に、工場長代理に臭いがオカシイと報告をした製造主任とその

弟子(どうしても調合などの職人技を担当する仕事では徒弟制度が出来上がっ

てしまう傾向があります。不二家事件ではこの事が問題になりました)が「臭い

のオカシイのとオカシクナイのがあるから、あれ、使うかも知れないんだってよ。

信じられないよな〜!」と言っているのが耳に入ってきました。その製造主任は

私に敵意と恐れを感じている者で(現場の叩き上げでもない奴(私の事です)に

品管なんかデキルンカヨ!という考え方の持ち主。でも生産部長からは私のH

ACCPや現場改善のやり方を習得せよ、との特命を受けているので恐れも抱い

ているらしい 口も聞いてくれません)、私に対する嫌がらせで、私のいる場所で、

私に聞こえるように言っているのが分かっているので、私は自分のルーチンワー

クである、ムシポンの粘着テープ交換に集中していました。本来であれば、この

製造主任が「こんなの絶対使えないよ。返品、返品!!」と判断すれば良いと思

いますが、組織の中ではありえない事なのかな。。。

 会社が進めているトヨタ生産方式では、異常があった場合は製造ラインに入っ

ている人にラインを止める権限があります。マル総承認の時も、保健所や厚生

局からは「CCPの管理基準の逸脱が発生した時は、モニタリング担当者がリー

ダーに報告し、リーダーが製造ラインを止める、になっていますが、モニタリング

担当者の権限で製造ラインを止める事は出来ないんですか?と口を酸っぱくして

言われました。当時はトヨタ生産方式に、今ほど注意を払っていなかったので

「組織ですから」で押し切ってしまいましたが、この事を知っていれば、必要な

教育を行って、モニタリング担当者に製造ラインを止める権限を持たせたかも

知れません。本来、これでなければ安定した品質のモノを儲かるロットで生産

する事は出来ないはずです。

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奥が深いとおもいませんか。

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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表紙イメージ 河岸宏和への質問



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