========================================食品工場長の仕事とは===
物理的危害を防止する方法について
読者の方からメールを頂きました。読者の方からのメールは本当に原動力に
なります。
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河岸様
初めてメールさせて頂きます。いつも貴殿のメルマガを拝見し、非常に参考に
しております。
弊員は中国上海で食品を作っている会社の工場長をしております。工場が立ち
上がってからようやく2年が経とうかと言うところですが、いろんな面で中国人ス
タッフとの「常識」の違いに苦労しております。
さて首記の件、弊社もすべての原材料、製品を「直置き禁止」として最低限パレッ
トの上に置く様に指示指導をしております。(さすがに事務部門までは指導して
おりませんが・・・)しかし異物混入の観点からそれ以上の事が必要でないかと
考えております。
それは何かと申し上げますと、特にここ中国の物流事情が関係します。最近中国
においても高速道路が整備され、トラック輸送が便利になってきましたが、まだまだ
「品物を綺麗に運ぶ」と言うところまできておりません。
もともとトラック自体がボロボロであり、輸送品が汚れようがお構いなしの状態です。
従って、入荷してくる原材料品は汚れているのが普通です。それはもう、日本の
「常識」から行くと半端な汚れでは無いのです。パレットの上に置く様に指導している
事が無意味な程です。我々の工場内の方がトラックの荷台よりもはるかに綺麗なの
ですから。
この汚れを生産現場に持ち込まない方法を考えて行かないと、異物混入は永遠に
無くならないと言っても良いでしょう。
原材料の外袋に付着した汚れはどうすれば良いものなのでしょうか?
容器の底についた汚れはどうすれば良いのでしょうか?
厚かましいお願いかもしれませんが、河岸様がご指導されている方法がございまし
たら、ご教授頂きたく存じます。
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「床からの高さは確保できていますか」のお話についての質問だと思います。
http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/yukakara4.htm
今度私も仕事で、中国、韓国のフードチェーンの勉強に行って来ますので現地の
状況を見て皆さんにまたお話ができると思います。是非楽しみにしていてください。
トラックから降ろすときに異物を工場に持ち込ませない方法を考えてみます。
このときの異物は、物理的な異物と考えます。本来で有れば、化学的、生物的
危害も取り除く必要が有るのですが、今回は、物理的危害を取り除けば、他の
危害も取り除けたという考え方で行きたいと思います。
1 トラックからおろすときに、すべての表面を拭く方法
2 原材料庫までは外と考え下処理室に行くときに中身を運ぶ方法
3 トラックからおろすときに、外袋をすべて取り除く方法
4 トラックからおろすときに表面を拭いて、下処理室に運ぶときに中身だけを
持ち込む方法
大きくはこの四つが考えられます。それぞれについてお話します。
まず、大きな工程を考えてみます。そこで言葉の定義をします。
原材料をトラックから降ろします。
おろした荷物を工場内専用の台車、パレット等に載せます。「入荷場」とします。
その原材料を常温倉庫、冷蔵庫、冷凍庫に入れます。→ 「原材料庫」と呼びます。
原材料を計量したり、解凍したり、工場内で加工する準備をするところ。→「下処理室」
では、具体的にお話します。
1 トラックからおろすときに、すべての表面を拭く方法
とにかく、ウエス、雑巾で表面をひたすら拭きます。ある程度綺麗であれば
アルコールを噴霧しながら綺麗な布巾で拭けば綺麗になります。
但し、実際の作業はきちんとしないと直ぐ、手を抜いてしまいます。
いいところは、直ぐに実行できます。
2 原材料庫までは外と考え下処理室に行くときに中身を運ぶ方法
原材料庫までは、外と考えて、下処理室に行くときに中身を出して、下処理室
専用の台車、容器に移し替えて運ぶ方法です。このとき、原材料庫で異物が
入ってしまう可能性が残っています。
3 トラックからおろすときに、外袋をすべて取り除く方法
とにかく二重袋にしてもらいます。袋物なら二重袋、段ボールなら段ボールを
二重にするか、段ボールの中に内袋を入れて外箱は捨ててしまう方法。
番中の納品なら、番中の外側に袋をかけてその袋をとる方法。色々考えられ
ます。
4 トラックからおろすときに表面を拭いて、下処理室に運ぶときに中身だけを
持ち込む方法
すべてを組み合わせます。原材料庫を外と考えてしまうと、結局虫が混入して
しまいますので、基本は4の方法がベストになります。
どの場合も大切なのは、内袋にも商品名と製造日等の日付が入っていることが
大切です。物理的危害を取り除いてしまって、製造日が解らなくなってしまうと
何を管理しているか解らなくなってしまいます。
気が付いたことをできることから進める。そうすると工場の管理レベルは少し
づつ改善されてきます。
小さなアイデアを是非実行してみてください。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。