========================================食品工場長の仕事とは===

■■    バイオテロを考えたとき

■■■                            2007年5月12日発行 

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おはようございます。

河岸です。「食品・農業バイオテロへの警告」が発売されています。

http://www.nissyoku.co.jp/annai/syoseki/syosai/bioterrorism/bioterrorism.html

和歌山カレー事件を思い出すまでも無く、悪意を持って食品に何かを混入させ

て大量殺人を計画した人たちが、皆さんの工場を狙った時に防ぐことが出来る

かどうかを考えてみるのはいい一冊になります。

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バイオテロを考えたとき

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種子から皿までの管理が必要です。

 私の二冊目の著書「「ビジュアル図解」食品工場の品質管理」では、食品の安

全を考えるときに「農場からフォークまでの品質管理」(From Farm to Fork)の考

え方をお話ししました。最近アメリカでは、(From Seed to Plate)「種子から皿

まで」というキャンペーンが始まっているそうです。特に遺伝子組み換え作物

(Genetically modified organismからGM作物、GMO)に敏感な日本においてはこ

の種からの品質管理が今後の課題になっていくと思います。日本の農業の種子

は米などの極一部を除いてほとんどの種子を輸入に頼っているのでその大切さ

は言うまでも無いと思います。鶏、豚、牛の種系についてもほとんどを外国のブリ

ーダーに頼っているのが日本の現実になります。この種系の安全を常に考えてい

くのが日本の今後の使命かもしれません。第二次世界大戦でアメリカ軍は日本の

稲を枯らす事も考えていたそうです。

 

 

工場の外で手を加えたときに証拠が残るようにします。

 食品工場から出荷された商品が最終のお客さまの口に入るまで安全な状態で

届けることが食品には求められています。1984年発生しました「グリコ森永事件」

では、「かい人20面相」から「グリコのせい品にせいさんソーダいれた」と言う文書

が送られて、市場からグリコ製品、森永製品が消える事件がありました。その後も、

栄養ドリンクの中身に殺虫剤を入れ再び蓋をした物を自動販売機の中に置かれる

事件などが発生しています。また、スーパーの店頭のパン、牛乳、パックされた肉、

魚などから縫い針が見つかる事件は、最近でも良く起きている事件です。このよう

な食品の流通過程での意図的に悪意を持った犯罪行為に対して、加工食品に手

を加えた場合に、製品が手を加えられた事が明確に解る様にする事をタンパーエ

ビデンス(tamper evidence)(改変されたときの証拠)と言います。

 

 

お客さまが口にするまで安全に商品が届くか、常に研究が必要です。

 グリコ森永事件当時のお菓子の包装は、中身に手を加えても加えたことが解らな

いような包装でした。最近は紙箱の上にシュリンクフイルム等で包装してあり中の

製品に手を加えた場合は、箱を開けた証拠が残るようになっています。身近な例で

は、焼鮭ほぐし瓶詰め商品のシールはシールを一度剥がしてしまうとシールの後に

「開封済」の銀色の文字が瓶に残ります。この商品を見ると解りますが、今までの

瓶詰め商品のタンパーエビデンスは、フタの中心部のくぼみがくぼんでいること、

開けるときに「ぽこっ」と音がする事でしたが、開封済みのシールを貼ることでお客

さまは誰でも開封されていることが解るようになっています。有名な外国ウイスキー

「オールドパー」はあまりにもスナックなどでオールドパーの空き瓶に他の安いウイ

スキーを詰め替えてお客さんに出していたため、詰め替えた場合に判る「玉付き」の

商品を出しました。栄養ドリンク、ペットボトルなどは、初めて蓋を開けるときは有る

程度力を入れて蓋を回さないと開かないような仕組みにしています。お客様には、

「蓋が簡単に開いてしまった場合は、飲まないようにしてください。」と言った教育が

必要になります。お客様が安心して商品を食べられるようにこれから更に研究が必

要な考え方です。

 

 

身近な例で考えてみます。

 あなたの工場で悪意を持った方が異物を入れようと考えたときに防ぐことは考えて

いますか。金属異物を入れようと思った時に、設備管理でのビスなどの部品が容易に

持ち出せないようになっているか、化学薬品、洗剤などが安易に持ち出せないように

なっているか、事実、アメリカなどは食品工場を退社するときに鉄板などの異物を製品

に入れて辞めて行くなどの行為が有るそうです。注意を払わなくてはいけないのは、

従業員だけではありません。納品業者の方が工場内を動き回るときに一人っきりにし

ていませんか。スーパーなどの納品業者が自分の納品した商品を入れていた番重に

DVD等の商品を忍び込ませて、社外に持ち出している盗難はよく起きていると聞きま

す。納品業者の方の出入り管理、また工場内に入るためには必ず点検が必要になり

ます。この外部の方の管理は配送センターなど家庭の食卓にまで行う必要があります。

 

 

種子から皿までの管理が必要な時代になってきました。

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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表紙イメージ 河岸宏和への質問



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