========================================食品工場長の仕事とは===

  30年先を見る


常に30年先の工場を見続ける事が必要です。

 自分の歳に30を足してみてください。いや私は30年先は生きていないから

この話は関係ないよ。と思う方が多いと思います。皆さんの周りを見てみてくだ

さい。今年高校を卒業されて工場に入って来た方は18歳です。30歳を足しても

48歳です。平均年齢の若い工場であれば、30年後のことを考えないといけま

せん。あなた、工場長は後2年で定年だから何となく時間を過ごして、自分の

人生の10年後を見ればいいのかもしれません。でも考えてみてください、毎日

毎日、あなた、工場長の指示を聞いて働いている人たちを、工場が古くなったの

で、この工場は閉鎖します。あなたの働き先の工場は自分で探して働いてくだ

さい。とは言えないと思います。最近のフリーターの方も本来フリーターを希望

してフリーターをしているのでは無く、希望が見えないから、また周りの大人が

希望を見せていないのが責任かもしれません。

 

 工場の30年先を見てください。

 

30年後の工場長の姿が見えますか。

 私が、大学を出て初めて品質管理として働いた工場は、周りが私より年上で、なお

かつ新入社員の採用がどんどん押さえられていました。戦後に伸びた産業に入った

ので今から考えると石炭産業に入ったようなものです。私が工場長になったときの姿を

想像することはできませんでした。初めの会社を辞めた理由はここにありました。

 

 

工場はメンテナンスが必要です。

 解りやすいお話しで、家を建てたとします。普通の家は、屋根はスレート材で壁は、

モルタルかヘーベルになります。最近の壁はアルミに塗装したサイディングが多く

なっています。どちらにしても屋根も、壁も、10年に一回は塗り直さなくては、家の

寿命は短くなってしまいます。家は私一代でいいので塗り直さないで家と一緒に死ん

でもいいんだと言ってしまえばそれまでですが、孫が遊びに来て、おじいちゃんの家は

綺麗だから僕も泊まりに行きたいと言ってもらえるような家の方がいいとおもいませ

んか。そのためには、屋根は10年ごとに塗り替えて、壁も綺麗な色に塗ると気分も

明るくなると思います。

 

家の中を見てみましょう。直ぐ交換が必要なのは蛍光灯です。

「充分な明るさを確保していますか」

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/keikoutou34.htm の中でお話ししていますが、

今年は売り上げが少ないので経費節減と称して、蛍光灯の交換を伸ばしたとします。

そうすると経費が少なく、見かけの利益が出てしまいます。大きな工場の経費節減は、

麻薬のようなものでちょっと工夫すると莫大な金額が出てしまいます。その代表的な

ものが蛍光灯ですが、普通の家庭では毎年一回は交換する必要があります。最近は

交換頻度が少なくなった物も出てきていますが、基本は年一回の交換です。この蛍光

灯の交換を怠ると、おじいちゃんの家はなんか暗くて怖いから行かないと孫に言われ

てしまいます。

 

 昔は毎年年末に畳を替えました。一年おきに、畳の表を裏返して、2年目には、表替

えをした物です。いまは、キチンとした旅館でも、たばこの焼けこげがついた日やけの

した畳を使っていたりして、年末の畳替えの習慣は無くなったような気がします。大石

内蔵助が伝奏屋敷お畳替えの件で切れてしまって、松の廊下に至ったときの、一晩で

畳替えをするシーンは有名です。この畳替えは、そのくらい大事なことだったと思います。

 

 同じように襖を張り替える。障子を張り替える。昔の日本の家は、毎年お正月にはメン

テナンスがされていつでも気持ちよく過ごせる工夫がありました。

皆さんの家の、床、天井、壁のメンテナンスはキチンと毎年されていますか。家の中の

壁紙を10年に一回貼り替える。カーテンを季節ごとに交換して洗濯をする。庭の木の

剪定を毎年行う。蛍光灯のカバーを毎月掃除する。家をお化け屋敷にしないためにする

事は数多くあります。その手間は必ず孫がお盆、正月に「おじいちゃんの家に遊びに行

きたい」という声に変わると思います。新しい物を買ってそろえなさい。と言っているの

ではありません。メンテナンスをキチンと都度都度しましょうと提案しているのです。

 

 私はメルマガを書いているときは、jazzのCDを聞いているときが多いのですが、

昔はレコードを聴くとき針を交換しました。針を交換しないといい音を聞くことは出来ず、

レコードも傷んでしまいました。もっとも最近は何も交換する必要が無くなってきました。

 

 話は、工場に戻ります。30年後の工場を考えたときに必要な事があります。

   建物のメンテナンス。

   設備のメンテナンス。

   新設備の投資。

   商品開発。

   研究開発。

   人材の登用。

 

 いろいろ考えられますが、経費を削減して利益を出すのであれば、先行投資の部分

特に研究開発、商品開発の経費を削減し、人材の登用を押さえれば、とりあえずの

利益は出てきます。しかし、その工場に、新人が入ってきて、慣れて工場の中が

解ってくると、自分の将来を考えたときに魅力の無い工場になってしまいます。

 

そうならないためにも、あなた工場長自身が30年後を考える必要があるとおもいます。

 

あなたの家にあなたの孫が遊びに来たい家をメンテナンスするのと同じ事だと思います。

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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河岸宏和(かわぎしひろかず)