==================================食品工場の工場長の仕事とは==

■■    見える化が必要

■■■                            2011年7月23日発行 

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おはようございます。河岸です。関東は秋を思わせる暖かさです。半袖では

寒いくらいですね。

ツイッターをしています。食について是非合智しませんか。

https://twitter.com/ja8mrx

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8月25日木曜日 賞味期限設定のセミナーを東京で開催します。

講師は、私、河岸宏和です。

是非、手帳に印をどうぞ。

http://www.gijutu.co.jp/doc/s_108132.htm

講師割引き 

http://ja8mrx.la.coocan.jp/108132.pdf

 

10月28日金曜日 埼玉県さいたま市 ソニックシティーで無料講演を予定

しています。講師は私、河岸宏和です。

「安全でおいしい食品を選ぶために」もちろんセシウム牛肉、o-157カルビ

についても触れます。

埼玉で働いている方、住んでいる方が対象です。手帳に印を。

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・食品工場の参考になる本  

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 見える化が必要

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見えないから不安が増してしまう

 人間は自分の五感(視覚、嗅覚、味覚、触覚、嗅覚)で判断できない危

害にあうと不安になってしまいます。

 夏は怪談の季節ですが、怪談が恐怖感を煽るのも、本来は目に見えな

い物が見えてしまうと思うからだと思います。

 恐怖感を感じる物の中に、原因がはっきりしない物、自分たちで防ぎよう

の無い物もあると思います。

 車を運転していて、ブレーキを踏めば車は止まると思い運転していて、ブ

レーキが突然効かなくなると恐怖感を感じると思います。

 自分の手の中でコントロール出来る物は安心して使えます。

 食中毒菌は人間の目では見ることができません。しかし、食べ物が食中

毒菌で腐ってくると食べ物からの腐敗臭、変色などから異常だと感じる事

ができます。

 中にはO-157、一部のサルモネラ菌のように食べ物が変質するまで菌

数が増えなくても食中毒に至る菌種もあります。

 食中毒菌は、そのままでは目で見ることができません。

 しかし、シャーレーに寒天などで出来た菌が増えやすい培地に菌を植えて

一定時間培養するとると菌数を数えることができます。

 食中毒を起こす事が出来る菌数かどうか目で見て判別できるようになるの

です。

 目に見えない食中毒菌を目で見える様にし、食中毒を起こすまで増えてい

るかどうか数値化も出来ているのです。

 弁当工場でも、製造して直ぐの細菌数を管理することで、お客様が食べる

時に安全な細菌数かどうかを判断することが出来るのです。

 細菌数を管理するために先人の経験から、様々な食中毒から学んで来た

のです。

 食中毒を防ぐための管理方法が過去の食中毒事故から産まれてきている

のです。

 セシウムを含んだ牛肉が市場に出回り大騒ぎになっています。

 セシウムなどの放射線物質は目に見えません。

 放射線物質を見るためには特殊な測定器が必要になります。

 目の前の牛肉が安全かどうか自分の五感では解らないのです。特殊な測定

器は一般的には手にすることは出来ません。

 もちろん、食品工場でも備えて入るところは少ないと思います。

 放射線物質を測定する測定器を手に入れても、安全かどうかの基準が明

確では無いのです。

 目の前の牛肉の測定値が安全かどうか解らないのです。

 細菌数なら「1gあたり百万個の菌数なら細菌がいても食中毒は起こすこと

は無い」と言った過去の経験から学んだ理論があります。

 細菌の中でも、「食中毒を起こす可能性のある菌は測定されてはいけない」

と言った事を決める事が出来ます。

 放射線物質は事故の経験が無いので数値の白黒を明確に決める事が出

来ないのです。

 食品に対して放射線物質の数値を明確にし、白黒を明確にすることで、不

安感が無くなると思います。

 

汚染地域を指定する

 スリーマイル原子力発電所、チェルノブイリ原子力発電所事故の場合はこの

対策を取っています。

 放射線物質の放出量と風向きなどを科学的に考えて、放射線物質が飛散す

る距離を計算します。

 大切なのは科学的に計算し感情を入れないで計算することが大切なのです。 

 そして安全率を考えます。例えば放射線物質が日常の風に乗って運ばれる

距離を計算すると20kmだったとします。台風のような強い風の場合は60km

だったとします。日常的には20kmで安全なのですが、台風などを考えると

60kmの距離が必要です。そしてさらに、「滅多にないことだけどなんかあったら

こまるから」と考え安全率をかけるのです。60km×1.3倍=78kmは放射線物質

に汚染される可能性のある場所として指定するのです。

 指定された汚染範囲に指定された土地は住むことを禁止しなければならな

くなります。

 もちろん野菜などを作る事は出来なくなります。

 放射線物質を放出している原因が取り除かれていない間は、早急に放射線

物質が飛散する可能性のある距離を計算して、住民な避難、農産物の作付け

制限、出荷制限をかけるべきだと思います。

 ここまでは黒、ここからは白と明確にすることで風評被害は無くなると思うの

です。

 作付け制限を明確にし、出荷前の野菜については出荷停止の処置をします。

出荷制限では無く作付け制限を行うのです。

 作付け制限を行った地域については、政府のHP、従来のマスコミ報道で周知

することが必要です。

 そしていちばん大切な点は、実際の作付け制限を行った圃場に対して、

「作付け禁止」の表示を行う事が大切なのです。

 圃場で働いている方が、制限されていることを明確に理解できるような対応をす

ることが必要なのです。

 実際に畑に看板を立ててあることが必要になります。

 当局が決め、各自治体に指示し、自治体が警察等の組織を使って、「この畑、

田は作付け、出荷を禁止します」と言う内容の看板を立てて歩くのです。

 

もう一つの考え方があります。

 汚染の可能性のあるすべての農畜産物、水産物を検査して出荷することです。

 畑単位、船単位で検査を行い安全を確認して出荷することです。

 この対策を取っているのが富山県の神通川沿いの米農家が取っています。

毎年収穫した米のカドニウム含有量を測定し、基準以下なら出荷し、基準以上

なら産業米として出荷するのです。

 全量検査を行って居る例としては、日本の牛肉があります。牛肉はBSE;牛海

綿状脳症(うし かいめんじょう のうしょう、Bovine Spongiform Encephalopathy,

BSE)の検査を全頭で行っているのです。BSEに罹った牛肉を食べるとヤコブ病

になり。アルツハイマーと同じような症状になると言われています。

 日本の全頭検査というやり方は、厳しすぎると世界的には言われています。

 地域で基準を設定するか、全量検査を行うか、どちらにしても、市場で流通して

いる商品はすべて放射線物質の危害に関して安全で有るというルールを定め、

ルール通り行われている事の確認が必要なのです。

 富山のカドニウム、牛肉のBSEに関しても法令で定め検査を行っています。放

射線物質の危害の全量検査を行う場合についても、法令で定め、確実に実施さ

れている事が安心感に繋がると思うのです。

 しかし、野菜、鮮魚の様に鮮度が命の商品もあります。鮮度が重要な商品に

ついては、全量検査が「絵に描いた餅」になる可能性があります。 

 生鮮品については、科学的な根拠のある出荷してはならない指定範囲基準を

定め、安全率をさだめる事が風評被害を無くする一番確実な方法だと思います。

 出荷範囲の外の生鮮品に関して、定期的に放射線物質の測定を行い安全性

の確認する事が大切な点だと思います。

 放射線物質の測定は不安を扇ぐ物では無く安心感を高める物だと思うのです。

 

例外を作らない

 「「至宝」の種牛がついえてしまうのか」2010年に宮崎県で発生した口蹄疫

で日本の代表的な種牛が殺処分の対象になってしまいました。「なんとか種

牛だけでも例外に出来ないか」と関係者の方は関係方面に訴えていました。

 しかし、例外は認められること無く、対象となった種牛は処分されたのです。

 日本では、「自分だけは例外でお願いします」という風潮があります。「決ま

りは決まりだけどいいじゃ無いか」、「どうせみんなやっているのだから」と例

外を認める傾向にあります。

 「これは規則ですから」と言っても「何時までも青臭い事を言うな」と組織の

論理で正当な発言が抑えられてしまう場合もあるのです。

 政治家が絡んで来ると更に面倒な話になってきます。

 放射線物質汚染区域を科学的に決めたら例外を作るべきでは無いのです。

 科学的に計算された結果であれば、計算根拠の論理が難しくても、数字と

して明確になるはずなのです。

 放射線物質を含んだ水が海に放出されました。海の汚染は、原子力発電

所から空気からの飛散と水からの汚染とダブル汚染になってしまったのです。

 福島原子力発電所の冷却水の設備内での循環が現在は行われていませ

んから原子力発電所からの排水による汚染がまだまだ続くことになります。

 魚の放射線物質基準は更に設定が難しくなります。原子力発電所の放流

水の近くに生息している魚をどうするのか、回遊している魚で、原子力発電所

沖で捕獲した魚をどうするのか細かく魚種毎に設定をする必要があります。

 一度設定したルールは、放射線物質の排出の状況が変化しない限り変更

すべきでは無いと思います。

 野菜の安全を定める、白と黒を判断する基準は、一度決めた限り、科学的

な根拠で見直しを行わない限りは、政権与党の幹部が「厳格さ求めすぎ」と

見直し発言を行うべきでは無いのです。

 基準を批判することで基準に対する不安が募ってしまいます。ただでさえ

暫定基準と暫定で作った完全でない基準と言ってしまっているのです。

 

 放射線物質の測定方法を明確にし、白黒の判断基準の数値を明確にし、

可能性のあるすべての食品を測定し測定値を表示すること「見える化」す

ることが安心感につながり風評被害を防ぐ一歩になると思います。

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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